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ニュージーランドのお葬式事情①  ー準備編ー

The Funeral in New Zealand

場所が変われば、常識が変わる。
お葬式だって、国が変われば大きく異なるもの。

そんなニュージーランドのお葬式事情を詳しくご紹介します。

ただ、ニュージーランドのお葬式事情を調べているうちに内容があまりにも長くなってしまいました。
そのため、2部に分けてご紹介させていただきます。

今回ご紹介するのは『ニュージーランドお葬式事情-準備編-』です。

ニュージーランドで終活は常識?

日本でも昨今『終活』という言葉が定着してきました。

しかし、ニュージーランドには終活という単語はありません。
たぶん特にそういう言葉が流行るまでもなく、普通に行動するからなのだと思います。

若いうちに遺言書を残しておくことは珍しくありませんし、死ぬまでにやりたいこと100といったバケットリスト(BUCKET LIST)を作ることもあります。

生前から自分のお葬式のプランニングをすることも珍しくありません。
昨年度にはオークランドにて、ニュージーランド葬儀会協会(FDANZ)主催の「Funeral Services Trade Show(葬儀サービス見本市)」が開催されました。

2018 Funeral Services Trade Show

お葬式に必要な骨壺から棺桶まで。
一通りの道具を自分好みで選ぶことが出来ます。

2010年にはロトルアで『キウイ・コフィンクラブ(KIWI COFFIN Club)』なるものまで設立されました。
まさに自分の棺桶を手作りするための会です。

現在 KIWI COFFIN Clubは「Coffin Clubs New Zealand」に名前を変えて、ロトルア、ホークスベイ、カティカティ、ワイタケレの全国4カ所に支部をおいています。

作った棺桶は自分の命が尽きるその日までベットとして使われたり、収納箱として使われたり。
あまりに楽しそうな姿に思わず笑ってしまいます。

本来、葬儀屋で購入する棺桶は平均的な価格で3,000ドルほどなのに対して、自分で作れば200ドル前後ほど。
しかも自分の好みで柄も形も自由に作れるとあって、全国に少しづつ”手作り棺桶クラブ”が増えているとの事。

なんとも縁起でもない会のように聞こえますが、コストも抑えられ、しかも手作りでで楽しく作成。
生前に自分好みの棺桶を用意しておくのも悪くないようです。

他にも骨壺を自分で焼く人もいますし、死んでからやって欲しいリストを作る人も。
こうして考えてみると、ニュージーランドの人の多くは、死というものに対して前向きなのかもしれません。

気になるお葬式にかかる費用

Citizens Advice Bureauの調査によると、ニュージーランドの平均葬儀費用は8000ドル~10,000ドル

主な内訳:
故人の友人に知らせる新聞通知50ドル~140ドル
お葬式の日時や場所などの詳細掲載し、知人や友人に知らせます。
(親しい間柄の人には直接伝えます。)
葬儀会社サービス料500~3,000ドル
ご遺体のケアから搬送、斎場の
土葬料金(掘削料金含む)3,600~8,500ドル
マオリは伝統上 遺体を自然にゆだねるため、ほとんどが土葬です。
火葬料(掘削料金含む)2,400~7,000ドル
ニュージーランドでは毎年3万人以上が死亡し、そのうち70%が火葬を選びます。
500~5,000ドル
塗装のないシンプルなものから、素材にこだわったもの、趣味を反映したものまでとバリエーションが豊富です。
骨壺50~3,200ドル
小さい壺から小箱から装飾品をいれるような小箱までと、棺桶に合わせたデザインを選ぶ人も。
防腐剤750~1,200ドル
遺体損傷などがある場合のエンバーミングはこの料金に更に追加されます。
ご遺体の運搬250~650ドル
土葬の場合、お墓への運搬料金も追加されます。
教会や葬儀場会場150~650ドル
ご自宅やマラエなどで行うケースも多いです。
新聞のお知らせ50~140ドル
新聞にお葬式の日時や場所などの詳細を掲載します。
司祭や牧師の手配150~400ドル
クリスチャンではない人も多いため、全体の4割ぐらいの人が手配されるそうです。
オルガニスト(または他のミュージシャン)の手数料 110~220ドル
ニュージーランドではお葬式に音楽を欠かしません。
ケータリング(50人)375~750ドル
式終了後は、参列者と共に軽食をとり、故人のことを語らいあうのが一般的です。
フラワーズ65~180ドル
死亡証明書100~200ドル

以上の内容が一般葬儀にかかる費用です。
他にも参列者のお礼の手紙やサービスプログラムの印刷など、希望によって追加することになります。

お葬式は基本的に故人の希望にそって

ニュージーランドは他民族のため、お葬式のスタイルは色々。
移民も多いため、故人の育った環境に合わせて火葬、土葬、水葬、風葬、海洋自然葬などさまざまです。

遺言書などに故人の希望があればそれに従いますが、故人を偲ぶという点では日本と変わりありません。
日本と違うのは、故人が好きだった色で統一したり、みんなで歌を歌ったりと、だいぶ華やか。

ニュージーランドにとって、お葬式は悲しむだけの場ではなく生き抜いた事を祝福しながら送り出す場でもあるようです。

また、2018年にニュージーランドの葬儀社のドキュメンタリー「キャスケティアーズ(Casketeers)」が放送されました。

邦題は「ニュージーランドのお葬式

ユーモアを交えつつ、真心と誠意をもって遺族に寄り添うマオリの葬儀社。
なんとなく、ニュージーランドのお葬式ってこういう感じなんだなというのがわかります。

葬儀の準備だけでもニュージーランドらしさがいっぱい

いかがでしたか?
ニュージーランドのユーモアと個性あふれる終活は、なんだかとても楽しそう。
まるで、自分のお葬式という名前のパーティ準備をしているかのようです。

いつかは訪れる旅立ちの日は、今まで友人、知人、今までお世話になった人たちへの自分の人生を伝える日。
そう考えるなら、こんな風に前向きに楽しめるかもしれません。

参考URL:Better Send OffWork and incomeAuckland CouncilFuneralsdirect

ABOUT ME
便利帳管理人
2003年にニュージーランド(NZ)に移住。 持ち前の探求心、好奇心からNZでの楽しさを追及し続ける日々。 気が付けば早15年以上NZに滞在となるが未だ旅行者気分です。 オークランドを中心に仕事を兼ねてあちこちに出没。 InstagramではNZの写真を日々Upしてますので、お暇な方はどうぞ。