ニュージーランドにはイギリスの習慣が色濃くあり、その一つに『Memorial Bench Donation(記念ベンチ寄贈)』という習慣があります。
これは故人の家族や恋人・友人達が故人をしのび、生前の彼らが愛していた思い出の場所などにベンチを寄贈することです。
海辺の通りや公園などで銘板の付いているベンチを見かけたことはありませんか?
銘板には故人の名前、出生・死亡の日付、故人へ贈る言葉や詩の引用などが刻まれており、その多くは景観の良い所に設置されています。
かつて故人が好きだった景色を眺め、遺族は今は亡き人に想いを馳せる。
彫られた言葉からは生前の人柄が感じられたり、遺族の愛が込められていたりと思わず切なくなってしまうことも。
イギリスを舞台にした映画「ノッティングヒルの恋人(Notting Hill)」でも永遠の愛の象徴して登場してくるのでご存知の方が多いかも。
季節の移りゆくなか、思い出はいつまでもそこに残り続ける。
あちこちにさりげなくあるベンチ、通りすがりの人々はそこに腰かけ同じ景色をみながら何を感じるのか。
そこにたくさんの愛が溢れているとおもうと、何の気なしに座っていたベンチもまた違ったものになるかもしれません。
寄付について調べてみたのですが、金額は自治体や場所によりさまざまで1000ドルから2000ドルの間となんとも高額。
詳しくは各所問い合わせということでした。
ニュージーランドにはイギリスと同様に香典や香典返しといった習慣がありません、そのため故人を想う気持ちがこういった習慣として定着したようです。
また『Memorial Bench Donation』のかわりに『Commemorative trees(記念樹)』を寄贈することもでき、こちらは200ドルくらいから可能です。
お墓へ参るとかではなく自然の景色の中で故人に想うなんて、なんともニュージーランドらしい習慣ですね。