Hamilton Gardens
ニュージーランドには庭園をテーマとした公園が多数あります。
今回ご紹介するのは、その中でも世界の庭園とその庭園の文化や歴史を紹介するという珍しいコンセプトの【Hamilton Gardens(ハミルトンガーデンズ)】です。
オークランドから車で約1時間ちょっと、ニュージーランド北島ワイカト地方の中心に位置するハミルトン。
その市街地から車で約5分~7分、ワイカト川沿いを走り続けると右手にハミルトンガーデンズが見えてきます。
緑豊かな自然の中に囲まれたハミルトンガーデンズは、ワイカト地方の観光地としても有名で、週末には観光客や親子連れで賑わう人気のスポットです。
ハミルトンガーデンズの歴史
ワイカト川のほとり、敷地面積54ヘクタール(東京ドーム11個分以上)の広大な敷地を誇るハミルトンガーデンズ。
その昔、この地域はマオリ族Ngaati Wairere(ナアティ・ワイレレ)の族長Haanui(ハアヌイ)の本拠地で、作物を栽培する園芸の中心地でした。
しかし、ヨーロッパから入植者達によって、ライフル射撃場として使用されるようになり、20世紀には砂の採石やゴーカートトラック、都市の廃棄物処理場とさまざまに使用されてきました。
その後、高速道路開発が予定され、開発を阻止するためにボランティアとコミュニティグループがロジャーズローズガーデンを開設。今ではカモメが空を旋回し、ブラックリーなど自然の茂みに覆われているハミルトンガーデンですが、長い時間を費やして徐々にハミルトンの憩いの場として発展していったのです。
現在、敷地内には世界の庭園だけでなく、ピクニックエリアやインフォメーションセンター、保育園、カフェ、コンベンションセンター、ハミルトン東墓地なども開設しています。
各庭園は世界の様々な庭のデザインを重視しており、2014年には、フランスで開催された国際ガーデンツーリズムアワードで、ガーデンオブザイヤー賞を受賞。
庭園はハミルトン市議会によって管理されており、年間2,000件以上のイベントが開催され、100万人以上の人々が訪れています。
ハミルトンガーデンズ5つの庭園コレクション
ハミルトンガーデンには以下の現在5つの庭園コレクションがあり、コレクションごとにテーマがあります。
Paradise Collection(パラダイスコレクション)
パラダイス コレクションには6つの庭園があり、それぞれの国の伝統的な庭園や歴史的な建造物などがデザインされ、各国の特色を楽しむことができます。
- Indian Char Bagh Garden(インディアン・チャー・バーグ・ガーデン)
- Italian Renaissance Gardens(イタリア・ルネサンス庭園)
- Japanese Garden of Contemplation(日本庭園)
- Chinese Scholars’ Garden(中国学者の庭)
- English Flower Garden(イングリッシュフラワーガーデン)
- Modernist Garden(モダニストガーデン)
Productive Collection(プロダクティブコレクション)
プロダクティブ コレクションは人々がどのように植物と関わり、生産してきたかを表しており、現在準備中の2つの庭園を含め、6つの庭園があります。
- Te Parapara Garden(テ・パラパラ ガーデン)
- Sustainable Backyard(持続可能な裏庭)
- Herb gardens(ハーブガーデン)
- Kitchen Garden(キッチンガーデン)
- Pacifika Garden(パシフィカガーデン):庭園準備中
- Ancient Egyptian Garden(古代エジプト庭園):庭園準備中
Fantasy Garden Collection(ファンタジーガーデンコレクション)
ファンタジーガーデンコレクションは現在3つの準備中の庭園を含む9つの庭園があります。空想と想像力をデザインした庭園は、訪れる人々の想像力を刺激します。
- Picturesque Garden(絵のような庭)Tudor Garden(チューダーガーデン)
- Tropical Garden(トロピカルガーデン)
- Chinoiserie Garden(シノワズリーガーデン)
- Concept Garden(コンセプトガーデン)
- Mansfield Garden(マンスフィールドガーデン)
- Surrealist Garden(シュルレアリスムガーデン):庭園準備中
- Medieval Garden(中世の庭):庭園準備中
- Baroque Garden(バロックガーデン):庭園準備中
Cultivar Collection(カルティバーコレクション)
カルティバー・コレクションは4つの公園に分かれており、ハミルトンガーデンの中で最も植物園に近い庭園です。各庭園は名前にある植物の様々な品種を栽培しています。
- Rogers Rose Garden(ロジャー・ローズガーデン)
- Hammond Camellia Garden(ハモンド・カメリアガーデン)
- Rhododendron Lawn(シャクナゲの芝生)
- Victorian Flower Garden(ビクトリア朝のフラワーガーデン)
Landscape Collection
ランドスケープコレクションは、ハミルトンガーデンズの外側のエリア形成しています。
人々と自然界の関係を表しており、礼拝堂や墓地、自然景観などを含む4つの庭園に分かれています。
- Bussaco Woodland(ブサコ・ウッドランド)
- Valley Walk(バレーウォーク)
- Hamilton East Cemetery(ハミルトン東墓地)
- Echo Bank Bush(エコー・バンクブッシュ)
ハミルトンガーデンズの人気の庭園
ハミルトンガーデンズの敷地はとても広く、全部の庭園を見ようとすると軽く半日以上の時間を費やします。
そこで時間がなくても、ここだけは見てほしいおススメ庭園のご紹介です。
文化を楽しむParadise Collection(パラダイスコレクション)
6つの庭園からなるパラダイスコレクションはハミルトンガーデンズの中でも人気のコレクション。
その中でも5つの各国ごとの庭園は必見です!
ハミルトンガーデンズの中でもひと際目をひくのが、こちらのインディアン・チャー・バーグ・ガーデン。
16世紀~17世紀のタージマハルを模した象徴的なイスラム庭園で、4分割された花壇は色とりどりの花が幾何学的な模様を作り出しています。
別名:生きたペルシャ絨毯とも呼ばれている鮮やかな花壇をご覧ください。
パラダイスコレクションの中で次におススメするのはJapanese Garden of Contemplation(日本庭園)
やはり、海外で日本庭園がどのように目に映っているのかは気になるところ。
こちらの日本庭園は、室町時代の禅寺がモチーフとなっており、日本の伝統でもある池泉(ちせん)庭園や枯山水が造園されています。
松の木や季節で色を変える落葉樹。池には鯉や甲羅をほす亀がおり、ニュージーランドにいながらにして、日本の風情を感じさせます。
この他にも15世紀または16世紀のルネサンス庭園に基づいて造園されたItalian Renaissance Gardens(イタリア・ルネサンス庭園)
10世紀~12世紀の中国王朝を模したChinese Scholars’ Garden(中国学者の庭)
ゆっくりくつろぐことのできるModernist Garden(モダニストガーデン)など、見所がいっぱいです。
イタリアのカピトリーノの雌狼(ロムルスとレムスの像)をみたり屋外劇場が訪れたり、中国王朝の華やかな色づかいの門を潜り抜け、生い茂る竹林を歩くもよし。
各国の文化や歴史をごゆっくりお楽しみ下さい。
マオリを知るTe Parapara Garden(テ・パラパラ ガーデン)
ニュージーランドに来たからには、見ていただきたいマオリ族の庭:Te Parapara Garden(テ・パラパラ ガーデン)
ワハロアと呼ばれる門をくぐると、テ・アラ・ファカタウキと呼ばれる森林や草原などの自然植物を見ることはできます。
道の端に生えているハラケケ(亜麻)はマオリにとって生活に欠かせない植物の1つ。
ハラケケの葉で、生活に必要なかごやバッグなどを編むのです。
テ・アラ・ファカタウキを抜けると、神聖な儀式を行う広場にでます。
広場は木の柵で囲まれており、ファカイロと呼ばれるマオリの伝統的な彫刻を見ることができます。
昔、文字を持たなかったマオリにとって彫刻は部族の歴史や文化、伝統や伝説などを子孫に伝える手段の1つでした。そのため各ファカイロのモチーフはデザインが決まっており、それぞれに意味を持っています。
広場には伝統的なマオリの庭もあり、ヨーロッパの入植者達が来る前の地元のマオリ族Ngaati Wairere(ナアティ・ワイレレ)がワイカト川のほとりでどのように食物を育てたかを表現されています。
いくつかピックアップしてご紹介させていただきましたが、体力と時間が許すのであれば、物語が見えてきそうなファンタジーコレクションや植物園を感じさせるカルティバーコレクションもあわせてどうぞ。
また、全庭園を1周する場合、半日を歩き続けることになりますので、歩きやすい靴と夏場であれば帽子や日焼け止めなどをお忘れなく!
ハミルトンガーデンズをより楽しむために
ハミルトンガーデンズは広大な庭園だけなく、湖や公園、ピクニックスペースなどもあるため、1日の半分以上を過ごす人達も少なくありません。
特に初めて訪れる方は、事前に知っておくと便利な情報をまとめておきましたのでご利用下さい。
インフォメーションセンター/ギフトショップ
ハミルトンガーデンズの入口を進んでいくと最初の広場にインフォメーションセンターがあります。
必要な方はここで園内の地図(英語&中国語のみ)を入手することができます。
※webサイトからも入手される場合は、こちら”ハミルトンガーデン地図”からどうぞ。
ギフトショップでは、ハミルトンガーデンズでしか買えない商品が販売されており、各庭園で栽培された果物を利用して造られたレモンカードやマーマレード。生はちみつなどを購入することが出来ます。
※季節によって購入できないことがあります。
営業時間
9:00-17:00
Hamilton Gardens Cafe(ハミルトンガーデンズカフェ)
園内のインフォメーションセンターの傍にあるハミルトンガーデンズカフェ。
歩き疲れたらカフェでほっと一息。
食事をいただくことも出来ますが、飲み物やアイスなどを購入して湖のほとりでのんびりとするのも良いかもしれません。
そしてあまり知られていないのが、このカフェが提供するグルメピクニックバスケット。
事前予約(48時間前)が必要ですが、1人30ドル(2人以上~)でボリュームたっぷりのサンドイッチやサラダ、デザートなどをセットで用意してくれます。
ブランケットも一緒に用意してくれるため、事前に予約さえしてあれば、手ぶらで行ってピクニックを楽しむことができます。
Hamilton Gardens Cafe
住 所:Hamilton Gardens, Hamilton East, Hamilton 3216
電話番号:(07) 856 6581
営業時間:夏期/9:00-18:00、冬期/9:00-17:00
H P:Hamilton Gardens Cafe
Guided tours(ガイド付きツアー)
ハミルトンガーデンズには経験豊富なボランティアガイドがおり、事前予約がなくても参加することができます。(所要時間は約75分。)
毎週火曜日、木曜日、日曜日の3日間、午前11時から。
インフォメーションセンターへお申し込み下さい。
また、48時間前までお申し込みされれば、個人でもガイド付きツアーの手配が可能です。
※最低催行人数2人以上
料金及びお申し込み先
ツアー料金:大人 20ドル
6-14歳 13ドル
5歳以下のお子様は無料
電話:(07) 958 5940
Mail:bookings.gardens@hcc.govt.nz
この他にも、ハミルトンガーデンズでは季節ごとに毎月イベントが行われており、かかし祭りやクリスマス、グレートパンプキンカーニバルなど、楽しい企画が盛りだくさん。
お出かけの際はハミルトンガーデンズの公式WEBサイトの【Events】をご確認下さい。
季節ごとに違う顔をみせてくれるハミルトンガーデンズは、年間を通していつでも楽しむことのできます。
世界中の庭園が一堂に会するハミルトンガーデンを是非とも訪れてみて下さい。
Hamilton Gardens
住所:Cobham Drive, Hamilton
電話:07-838-6782
WEB:Hamilton Gardens
Facebook:Hamilton Gardens
営業時間:夏期/7:30~20:00、冬期/7:30~17:30
ニュージーランド便利帖からのお願い
現在ハミルトンガーデンズはハミルトン市議会が運営しており、無料で一般開放をしていますが、ガーデンのメンテナンスやこれからの発展のために10ドルの入場料を払う提案を求めています。
ハミルトンの憩いの場でもあるハミルトンガーデンズ。
もし、この場所に立ち寄られたら、園内入口に寄付を募る箱が設置されていますので、お手元にあるコインを入れていただけると幸いです。