Jacinda Kate Laurell Ardern
ニュージーランドの首相といえば、”ジャンシンダ・アーダーン(Jacinda Ardern)”
就任当初から何かと話題になるアーダーン首相ですが、最近では新型コロナウイルスに対する効果的な取り組みで世界中から称賛をうけています。
もちろんニュージーランド国内でもアーダーン首相の人気はうなぎのぼり。
”Jacindamania(ジャシンダマニア)”と呼ばれる熱狂的な支持者もますます増えているようです。
Newshubの5月の世論調査では、前回から20.8%と一気に上昇して59.5%という首相として今世紀最高の支持率を記録しました。
また、アーダーン首相の率いる労働党支持率も14%上昇し、56.5%を記録。
政党支持率としては過去最高の支持率となっています。
図:Newshubより
アーダーン首相が世界中から注目される理由
今では国民的人気のアーダーン首相ですが、首相に就任した当初からこのような人気を誇っていたわけではありません。
10代の頃に叔母の影響で政治の道を選んだというアーダーン首相。
2017年に、ニュージーランドで”最年少の政治リーダー”として、ニュージーランド労働党の党首になり、その3か月後 2017年10月に第40代ニュージーランド首相に就任。
もちろん歴代のニュージーランド首相としても最年少。
ニュージーランドで3人目の女性の首相となりました。
既婚者であった前任の女性達とは異なり”独身の若き女性(当時37歳)”ということから、就任の際には様々な質問がでました。
中には赤ちゃんの計画や子育てについてなどもあり、これに対してアーダーン首相は
「この時代に女性にこんな質問をするなんてナンセンスだわ。」
とばっさり。
女性の首相はこれまでにもいたし、政治に性別が妨げになることはないと主張しました。
そして、その約4か月後 パートナーであるクラーク・ゲイフォードと一緒に第一子を妊娠中であることを発表。
産休中は、副首相であるウインストン・ピータース(Winston Peters)が代理人として公務を行いました。
任期中に出産したのは今から約30年前に出産したパキスタンのベーナズィール・ブットー国家元首以来、世界で2人目ですが、在任中に産休を取得したのは世界でも初めて。
ニュージーランドでは珍しいことではありませんが、未婚の出産ということも含めて世界中に大きな波紋を広げました。
出産6週間後に公務に復帰したアーダーン首相。
その3か月後には赤ちゃんとパートナーを連れて、国連総会で演説するためにニューヨークへ。
当時はニュージーランドのファーストベイビーとして、赤ちゃんにも国連のIDが発行され話題となりました。
乳飲み子である子供を連れて旅行日程をこなすことについて、記者からの質問には「乳飲み子なんだから連れてこないと生死にかかわるわ。」と笑顔で答えるなど、政治と子育ての両立する姿勢をみせるなど、政治家としてだけなく母親としての力強さもアピール。
パートナーの助けを借りながら仕事と子育てを両立する姿は、ニュージーランドで子育てをしながら働く女性達の励みとなりました。
何かと世界で話題になったアーダーン首相は、2018年にアメリカのTime誌による【世界で最も影響力のある100人】に選出され、続けて2019年にも選出。
2020年度も有力候補であることは間違いありません。
その他にも首相としてLGBT(レズ、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)のイベントであるレインボーパレードに参加するなど、あまり前例のないことばかり。
2019年クライストチャーチの銃撃事件ではムスリムのヒジャブをかぶって被害者達の不安に寄り添い、銃規制法をスピード改正するなどの行動力を世間に示しました。
国民との違いを感じさせない親しみやすさ
アーダーン首相の政治スタイルは、過去の前例に捕らわれずに革新的。
世論は必ずしも好意的なものばかりではありませんが、支持率の高さは彼女の実力を表しているといえます。
大学で政治学の他にコミュニケーション学や広報学を学んだアーダーン首相は、政治家としても優秀ですが、非常に人間味のあふれる人としても有名。
新型コロナウイルス対策では国民と同じ目線で不安に寄り添い、厳しくも優しさとユーモアあふれる記者会見の数々。
ロックダウンへの取り組みについて、国民にわかりやすい言葉で的確に物事を伝えてくれました。
小さな子供達のために”イースターバニー”や”歯の妖精”は必要不可欠な仕事として発表した他、ロックダウン中ならではのイースターエッグハントを提案。
記者会見の最中に、記者の1人が質問の言葉に詰まれば「大丈夫よ。後でまた聞くわ。それよりも、あなたの睡眠が心配よ。」と声をかけるなどの気遣いをみせる余裕も。
国民との連帯を示すために、自らを含めたすべての閣僚の給与を半年間20%カットしたり、国民を500万人チームと呼び協力を仰ぐなど、リーダーとしての統率力を発揮しました。
その反面、SNSでは子供を寝かしつけた後に部屋着で登場する動画や、家族の愛情を感じる写真をアップするなど、プライベートを感じさせる親しみのある一面を披露。
娘のネーブちゃん2歳の誕生日には手作りのピアノをケーキをインスタグラムで紹介。
国の元首であっても、仕事から戻れば子育てに奮闘する普通の母親。
その姿にみんなほっこり。
公私ともに人気の高いアーダーン首相。
歴代首相で最も支持される首相に輝くのもうなずけます。
その人気は、イギリスやオーストラリアまで広がっており、首相交代を望む声さえあがるほど。
今年9月にはニュージーランドの総選挙が控えており、労働党は単独で過半数議席を維持できる見通しを示していおり、アーダーン首相の2期目が期待されます。
総選挙までの3か月、続く新型コロナウイルスによる経済再生への取り組みがどう評価されるか、これからのアーダーン首相にまだまだ注目が集まりそうです。
参照元:Newshub/Wikipedia/nzherald/Instagram