The Funeral in New Zealand
参列のマナーや常識も日本とは異なるニュージーランドのお葬式。
ニュージーランドのお葬式は日本のように堅苦しい作法はあまりなく、カジュアルな感じです。
まさに自由すぎて、日本人は逆に悩むことも。
お葬式の最中でも笑いがもれてしまうこともあるニュージーランドのお葬式
今回はニュージーランドのお葬式事情-参列編-です。
訃報から葬儀への参列まで
日本では電話でなどで直接訃報を知らされることが一般的です。
その後の準備として、喪服、香典袋、数珠、香典を包む袱紗(ふくさ)などなど。
参列するにあたり用意するものも多いですね。
さて、ニュージーランドでは、どのように違うのでしょうか?
お知らせは新聞のお悔み欄で
ニュージーランドでは親しい人でない限り、直接詳細の連絡くることはあまりありません。
ほとんどの場合、葬儀の詳細などはやコミュニティ新聞やローカル紙、WEBサイトの『お悔み欄(Deaths notice)』でチェックします。
お悔みの欄には”故人の名前、故人の亡くなった時の状況、もしくは人柄。友人、参加して欲しい人の名前。そして、場所・日時・参加者へのリクエストなど”が記載されています。
お葬式にはどなたでも参加することが出来ますが、ニュージーランドでは友人の母とかになるとお葬式に参列することはありません。
著名人ではない限り、親戚や親しい友人達で行う場合が多いようです。
例:
ジョン・スミス
4月10日(水)ジョンは家族に見守られながら最後の時を迎えました。親戚及び友人のみなさま、ジョンの人生の祝うためのサービスが4月15日(月)〇〇セレモニーホールにて2時から行われます。亡きジョンは活発で明るく、みんなを笑顔にしてくれる人でした、彼の性格を反映してドレスアップをしてきて下さい。
※おまけ話ですが英語の”ジョン・スミス(John Smith)”は日本の記載例にある太郎と花子のこと。
ちなみに女性は”ジェーン・スミス(Jane Smith)”です。
ニュージーランドではお悔みの欄に「お葬式(Funeral)」という言葉をほとんど使いません。
故人の今までの人生をお祝いするべく「人生の祝い」「人生の祭典」「人生の祝賀会」といった表現をします。
ニュージーランドのお葬式は嘆き悲しむものだけではなく、旅立ちの時を祝うセレモニーなのです。
お悔みの欄を確認したら
ニュージーランドは母の日や結婚記念日、バレンタインデーやクリスマスなどの年中行事や結婚、誕生日に、結婚、出産などの人生のイベントにカードを送る習慣があります。
訃報の場合でも同様で、遺族にカードを送るのです。
もし遺族が親しい仲でしたら、お葬式に参列とまではいかなくともカード一緒に花束を贈ることがあります。
香典は不要
ニュージーランドに香典という文化はありません。
お葬式=お金を送るという習慣はありませんので、何も持参する必要はありません。
ただ、必ずしもではありませんが、メモリアルチェアーなどを寄付するためのの寄付金などをリクエストされることがあります。
その場合、大抵はお悔み欄にリクエストが明記されており、希望者のみが銀行振り込みを行います。
お葬式会場
会場は教会やコミュニティホール、葬儀場などで行われる事が多いです。
また、少数派ではありますが自宅で行うこともありますし、故人がマオリの人でしたらマラエで行うこともあります。
参列する時の服装
参列する際の服には、まったくと言ってよいほど”コレ!”というものがありません。
初めて参列者をみる日本人はその差に驚くこと間違いなしです。
Tシャツにジーパンもいれば、カラフルなドレスまで。
中にはビーチサンダルという強者までいます。
ただ、イギリス系の高齢の女性は帽子をかぶっている方が多いです。
ロイヤルウエディングでも話題になりましたが、フォーマルな機会には帽子をかぶる習慣があるためです。
これは何かのパーティ?と思わず誤解してしまうぐらい、全身を真っ黒に統一される方はほぼいらっしゃいません。
むしろ日本のように全身黒づくめだと場が暗くなるからと敬遠されがちです。
ニュージーランドの人は”お葬式は行くことに意味があるんだから、服装はなんでもいいのよ”と言います。
とはいえ、あまり砕けた服装は控えたいもの。
お悔みの欄にロックな服装でというようなお知らせがない限り、あまり派手ではないセミフォーマルぐらいの服装をおススメします。
一般的なお葬式の一連の流れ
お葬式をどこで行うかや、宗教、人数などによりさまざまですので、大きく割合を占める教会や斎場での場合をご紹介します。
会場に到着した際に、入口で芳名帳のような用意されていた場合は名前をや住所を記入します。
時間になると司会進行役(主にセレブラント)が故人の人柄、どういう人物であったかなどを紹介。
続いて故人の遺族や友人達が前に出ては、故人との思い出話を共有します。
※セレブラントとは人生における様々な儀式を司る人。主にセレブランドとして機関に登録している人、もしくは神父さんなどを意味します。
楽しかった思い出やユーモアあふれる故人にまつわる話など、思わず涙してしまう話から声を出して笑ってしまう話までとそれぞれ。
涙あり笑いありと、まさに人生そのもの。
お悔み欄の”人生の祝い”という表現が、まさにぴったり。
そして最後はみんなで歌を歌ったり、花を棺の上に置いたりと最後のお別れをします。
マオリの人だと最後にハカを披露することも。
ハカ=戦闘の舞 のように思ってらっしゃる方も多いですが、ラグビーの試合の前だけではなく、結婚式、お葬式、歓迎式など特別な行事の際に行われるものなのです。
ここからは何葬なのかにより異なりますが、場所を移して軽食をとりながら楽しく故人の事を語り合いお開きとなるのが一般的です。
ニュージーランドお葬式トリビア
今までの内容だけでも十分驚きかもしれませんが、日本との違いはまだまだあります。
そこで、お葬式にまつわる日本との違いや決まりごとについてをいくつかご紹介。
遺族は火葬場に行かない
ほとんどの場合、遺族であってもお葬式の会場でお見送りをし棺だけが火葬場へ向かいます。
そして数日後、遺灰となって自宅に戻るのです。
もちろん火葬場に行くこともできますが、一般的ではないようです。
法事、法要はありません
基本的に初七日、四十九日、何回忌などの法事や法要はありません。
ただ命日は家族が集まって、墓参りをしたり、食事をしながら故人を思いだすといったことが多いようです。
その昔、マオリのお葬式は2回
現代ではマオリの人も通常の土葬が一般的ですが、この世を去った後も魂は身体に残ると言われており、今でも火葬はほとんど行われません。
キリスト教伝来以前は、1度目の葬儀後に遺体を洞穴の中に隠すか浅く埋められ、骨になるまでそのままにされます。その後骨はきれいに洗われ、2回目の葬儀が行われるのです。
※余談ですが、ワイトモ洞窟が1887年まで探索されなかったのは、こうした文化背景があったからです。
お墓はもういらない?!
ひと昔前まで、土葬が主流だったニュージーランド。
料金的なコストから今では火葬を選択する人の方が増えてきました。
そこまでは時代の流れだなと納得のできる話なのですが、ニュージーランド人にはお墓を持たない人も増えてきています。
もちろん経済的な理由も大きいと思いますが、本人の意向による自然葬(散骨を含む)であったりとか、分骨して家族で分けたりとか。
最近では宝石やガラス細工として加工する人も。
イギリスでも火葬された遺灰の6割はお墓を持たずに散骨をするということですから、イギリスの文化を色濃く残してるニュージーランドでもあるべき選択の一つなのかもしれません。
埋葬地を購入しても埋葬しないと没収される?!
ニュージーランドでは、埋葬区画を購入すると60年間の埋葬の独占権が与えられます。
その間に埋葬が行われなかった場合、もしくは再度独占権を購入されなかった場合はオークランドカウンシルに埋葬独占権は払い戻しを受けることなく返還されます。
お墓のお供えの花は造花?!
ニュージーランドのお墓は遠くから見ても色とりどりの花が供えられているのを確認することができます。
その昔、ニュージーランドの人に”冬でもニュージーランドの人はお花をかかさないのね”と言ったら、「あれはほとんど造花よ。」と教えられました。
思わず確認に行ったところ、確かに造花でした。
最後にお伝えしたいこと
いかがでしたか?
ニュージーランドお葬式事情-参列編―。
びっくりする事から共感できる事までと色々かもしれませんが、個人的には好感の持てることばかりです。
最後の時は、誰にでもいつかは訪れます。
今回のニュージーランドお葬式事情が、そんな最後の時を前向きに考えるきっかけになればと思います。