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オールブラックスが試合の前に踊る【Haka(ハカ)】とは一体?

Traditional War Dance

ラグビーワールドカップ2019も開幕し、ニュージーランドでも【All Blacks(オールブラックス)】の活躍が期待されています。

オールブラックスといえば、試合直前に必ず”Haka(ハカ)”を踊ることで有名です。
鍛えられた逞しい身体のオールブラックスの選手達のハカはその迫力に思わず圧倒されます。

日本でも、ハカといえば”ニュージーランドの選手が国際試合をする前に踊る儀式や余興のようなもの”と思われている方も多いようですが、実はきちんとした意味を持ったマオリの伝統文化なのです。

先住民族マオリのHaka(ハカ)とは?

一言でいうと”先住民マオリの踊り及びそれに伴う歌の総称”です。

マオリのハカは、世界的にも”Traditional War Dance(伝統的な戦いの舞)”として有名ですが、ハカは戦いのためだけに踊るわけではありません。

足を強く踏み鳴らしたり、胸や太ももを強く叩いたり、と全身を激しく動かし、目を見開いたり、舌を出したりと相手を威嚇するようなハカは、戦闘前の士気をあげたり、勝つために神に呼びかけるためのハカ【Peruperu (ペルペル)】や【Ngeri(ネリ)】と呼ばれるもの。

その他にもハカは、誕生日、結婚式、葬儀、卒業式などなど、その他の祝賀行事などでも行われます。
特に戦い踊り以外では、葬儀の際に行われる【Manawa wera haka(ワナワ ウェラ ハカ)】などが有名です。
またハカにも男性しか踊らないハカや女性しか踊らないハカなど様々なハカがあります。

ラグビーの国際試合で踊るハカは【Ka mate(カ マテ)】もしくは【Kapa o Pango(カパ オ パンゴ)】と呼ばれる2種類があり、試合の内容によってどちらかのハカを踊るのが習わしです。

Ka mate(カ マテ)とKapa o Pango(カパ オ パンゴ)

ラグビーの試合開始直前に行われるハカ。
ニュージーランドの代表選手達は、三角形の陣形を作り相手チームと向かい合います。選手の中でマオリの血を引く選手が最初に声をあげてチームをリードし、全員が声を合わせてハカを踊るのです。

最近では、TJ・ペレナラ選手がリードを務めており、ラグビーワールドカップ2019の初試合もTJ・ペレナラ選手がリードを務めました。

目を見開いたり、舌を出したりする攻撃的な表情に合わせて、力強さ溢れる体の動き。
オールブラックス選手たちの迫力あるハカはラグビーワールドカップ2019の見どころの1つでもあります。

Ka mate(カ マテ)

ラグビーの国際試合で昔から行われているハカは【Ka mate(カ マテ)】と呼ばれるもの。これは1820年に北島の Opotaka(オポタカ)にて、マオリのNgati Toa iwi(ナティ トア イウィ)族の指導者である”Te Rauparaha(テ ラウパラハ)”によって作詞されました。
※カ マテが作詞されたオポタカの地は観光名所となっており訪れることが出来ます。

カ マテには”私は死ぬ”という意味があるのですが、そもそもは戦いのハカというより死の縁で生きていることを祝うものだったようです。

Ka mate(カ マテ)】:歌詞

リード
Ka mate, ka mate!(カ マテ! カ マテ!)
私は死ぬ! 私は死ぬ!
コーラス
ka ora! ka ora!(カ オラ、カ オラ!)
私は生きる! 私は生きる!
リード
Ka mate, ka mate!(カ マテ! カ マテ!)
私は死ぬ! 私は死ぬ!
コーラス
ka ora! ka ora!(カ オラ、カ オラ!)
私は生きる! 私は生きる!
Tēnei te tangata pūhuruhuru(テネイ テ タナタ プッフルフル)
見よ、この勇気ある者を。
Nāna nei i tiki( ナア ネ イ ティキ)
ここにいる毛深い男が
mai whakawhiti te rā(マイ ファカフィティ テ ラ)
再び太陽を輝かせる!
Ā, upane! ka upane!(ア ウパネ! カ ウパネ!)
もう一歩上へ!さらに一歩上へ!
Ā, upane! ka upane!(ア ウパネ! カ ウパネ!)
もう一歩上へ!さらに一歩上へ!
whiti te ra!(フィティ テ ラ!)
太陽の光の中へ!Hi(ヒ!)

By wikipedia

カ マテが始めて披露されたのは1905年にオールブラックスがイングランド遠征した時。
また1987年の第1回ラグビーワールドカップ以降は全国際試合でハカが行われています。

【Kapa o Pango(カパ オ パンゴ)】

【Kapa o Pango(カパ オ パンゴ)】がラグビーの国際試合に登場したのは、2005年8月27日ダニーデンでの対南アフリカ戦でのこと。

これはオールブラックスのために作られたハカで、負けることのできない試合などで行われる特別なハカのため通常の国際試合ではあまり行われることはありません。
しかし、今回のラグビーワールドカップ2019では初戦の南アフリカ戦前の儀式「ハカ」で早速披露されました。

【Kapa o Pango(カパ オ パンゴ)】:歌詞

リード
Taringa whakarong!(今聞け!)
Kia rite!(準備は出来た!)
Kia rite!(位置につけ!)
Kia mau!(しっかりしろ!)
Hī!
コーラス
Kapa o Pango kia whakawhenua au I ahau!
(私を国をひとつにさせてくれ!)
Hi aue ii!

リード
Ko Aotearoa e ngunguru nei!(ニュージーランドここに鳴動する!)
コーラス
Au, au aue ha!(今こそが我らのその時だ!)
リード
Ko Kapa o Pango e ngunguru nei!(チームオールブラックスはここに鳴動する!)
コーラス
Au, au, aue ha! (今こそが 我らのその時だ!)
リード
I ahaha!
コーラス
Ka tu te ihiihi  (恐れと向き合え)
Ka tu te wanawana (恐怖と闘え)
Ki runga ki te rangi e (その空の上に)
tu iho nei, tu iho nei ihi !(高く掲げよ、高く掲げよ。)
リード
Ponga ra! (シルバーファーン!)
コーラス
Kapa O Pango, aue hi! (我らはオールブラックス!)
リード
Ponga ra! (シルバーファーン!)
コーラス
Kapa o Pango, aue hi! (我らはオールブラックス!)
ha!

lyricsy by New Zealand Fork song


【Kapa o Pango(カパ オ パンゴ)
】はKapaマオリ語でチーム、Pangoはオールブラックスシンボルでもあるシルバーフェーン(シダの葉)のこと。
要約するなら『シダの葉のチーム』となり、オールブラックスそのものを意味しています。

どちらのハカにも言えることですが、ラグビーで踊るハカには、”統一感を持つ””士気を高める”といった他に”相手チームに対する敬意”が込められています。
ハカは戦いの受け入れの儀式でもあるのです。

今回のラグビーワールドカップでも迫力あるオールブラックスのハカは注目を浴びており、どの試合でどちらのハカが行われるのかも気になるところ。

オールブラックスも初戦を勝ち進み、ニュージーランドでもますます盛り上がりをみせてくれそうです。

さて、今回のラグビーワールドカップ2019 優勝はどこの国が輝くのでしょうか?
まだまだ試合は始まったばかり、これからも目が離せません!

ABOUT ME
便利帳管理人
2003年にニュージーランド(NZ)に移住。 持ち前の探求心、好奇心からNZでの楽しさを追及し続ける日々。 気が付けば早15年以上NZに滞在となるが未だ旅行者気分です。 オークランドを中心に仕事を兼ねてあちこちに出没。 InstagramではNZの写真を日々Upしてますので、お暇な方はどうぞ。