コラム

ニュージーランドの人種差別

racial discrimination

ニュージーランドはホームステイの海外留学先やワーキングホリデー先としても有名です。

しかし、名前は知っていたとしても、やはり行くまでは未知の土地。
どんな国なのか、どんな人たちが住んでいるのか気になるところ。

実際のところ、ニュージーランドってどんな感じなの?と聞かれることもしばしば。
その中でも、みなさんが心配そうに聞いてくる質問の1つが人種差別問題。

そんな疑問にお答えします。

ニュージーランドに人種差別ってあるの?

結論から先に言うと”あります
そして、もう一つ言うならば、人種差別がない国はありません。

ただ、ニュージーランドは多様な人種が混在する国のため、世界的にみても人種差別が少ない国です。
言葉も文化も違う国なのだから、文化の違いや言葉の行き違いからお互いが不快に思うことがおこるのは自然の理。

あとは、どこまでを人種差別と定義するかにもよります。
では、ここで人種差別の定義について考えてみましょう。

人種差別(じんしゅさべつ、英: racial discrimination)とは、人間を人種や民族、国籍、地域において、その特定の人々に対して嫌がらせ、暴力やいじめなどの行為や差別をすることである。

by Wikipedia

実際にニュージーランドに住み、十数年も滞在していると人種差別と感じることの1つや2つは体験しますが、嫌がらせや暴力、いじめといったものではないです。
おそらくニュージーランドに住んで体験する人種差別として最も多く体験するのは、不快な思いをする【差別】ではないでしょうか。

例をあげるなら、お店の店員に明らかに自分だけ無愛想に対応されるとか、レジに並んでいたのに無視されるとか。
酷いところではアジア人という理由でアパートが借りられなかったとか。

正直、こういった事が起こると残念には思いますが、なぜこのようなことが起こったかについては理解ができなくはないです。

知らないというのは、人間の本能的に怖いもの。
新しい何かを受け入れるというのは、時間や理解が必要なものです。

外国からの観光客や移住者に対しても、拒絶から入る人もいれば、悪い経験が重なり受け入れられなく人もいます。
ニュージーランド人でもあるマオリでさえも人種差別を感じるということですから、外国人にないわけがありません。

昔は学校でも、人種が違うという理由だけで・・・という話も聞きましたが、さすがにオークランドではここ近年あまりそういう話は聞こえてこなくなりました。

これだけ留学生や多くなり移民も増えてくると、生徒の3割以上がニュージーランド人ではない学校も珍しくありません。
そのため人種に関する理解も増えてきたのだと感じます。

もちろん人種差別は0だとは言いませんし、絶対に受けない保証はどこにもありません。
ただ生まれた国が違ったり人種が違うということは、ニュージーランド人よりも差別を受けやすいことだけは確かです。

ニュージーランドだけでなく、日本にも言えることですが、世の中良い人ばかりではありません。
物事をただ全部受け止めるだけなく、時には世の中こんな人もいるんだなと関与しないことをおすすめします。

悪意のない人種差別

『人種差別』というと、倫理観の欠けた人種が自分たち以外の人種を見下したり、あからさまに違う態度をとることと思われがちですが、人種差別はそれだけではありません。

例えば、ニュージーランドにホームステイをする際に、白人の家庭を希望するご家族がいます。
多種多様な人種が住むニュージーランドにおいて、これは人種差別にあたります。

ニュージーランドにおいて、英語=白人ではありません。

英語が話せない家庭という場合は問題外ですが、中国系ニュージーランド人もいれば、インド系ニュージーランド人もいますので、肌の色でホームステイを選ぶということはニュージーランドでは禁じられているのです。

更に身近なところでいうならば「あなたは日本人だからどこのホームステイでも問題ないわ。」といった人種を比べる発言も人種差別の1つです。

こういった発言は本人に人種差別の悪気や自覚のない場合は多く、カジュアル・レイシズム(=何気ないレイシズム)とも呼ばれます。

ニュージーランドではカジュアル・レイシズムにも焦点を当てており、HRCの人種差別と戦うキャンペーン”That’s Us”では、カジュアル・レイシズムについても言及しています。

ニュージーランドの人種差別

ニュージーランドは人種差別問題に積極的に取り組む国の1つです。
雇用に関しても人種差別について厳しい罰則があるほど。

それでも、人種差別を受ける可能性がないわけではありません。
過去には人種差別による暴力を受けたという例もあります。

しかし、それはニュージーランドだからということではなく、どこの国であっても起こり得る問題です。

ニュージーランドは人種差別だけなく、いかなる差別(年齢、性別、障害、いじめなど)にも非常に厳しい国であり、不当な扱いを受けた場合は『人権委員会:The Human Rights Commission (HRC) 』に苦情を申し立てることができます。

現地に住んで肌で感じること

正直、観光や短期留学でニュージーランドに来る場合、人種差別を感じることはほとんどないと思います。
もちろんエージェントによって事前に色々な確認や手配が行われているということもありますが、ニュージーランドの人は外国人に対して寛容な人が多いです。

ニュージーランドの学生の何割かは学校を卒業すると、すぐに就職はせずに2~3年ほど海外にでます。
また卒業後に海外で何かを学んでくることをニュージーランドの学校でも推進しています。

そういった文化背景があるためか、海外にでた外国人の大変さを理解する人が多いのかもしれません。

これまでの経験からいうと、ニュージーランドの多くの人は親切で優しい人が多いです。
車のタイヤがパンクしたり、失くし物をしたりと困っている時、見知らぬニュージーランドの人達に何度も助けられました。

大らかで、陽気で、フレンドリーで、面倒見が良くて、茶目っ気があって、くだらない冗談が好き。
些細な事で怒ったり笑ったりと喜怒哀楽が激しくて、マイペース。

かなり個人の主観が入っていますが、多くのニュージーランド人はこんな感じです。

もちろん良い人ばかりではありませんし、上記に当てはまらない人もいます。
人種差別がないとは思いませんし体験することもありましたが、ほんの一握り。

そのためにニュージーランドを否定するつもりもありません。
良いところだけなく悪いところを含めても、ニュージーランドは住みやすい良い国だと思います。

ABOUT ME
便利帳管理人
2003年にニュージーランド(NZ)に移住。 持ち前の探求心、好奇心からNZでの楽しさを追及し続ける日々。 気が付けば早15年以上NZに滞在となるが未だ旅行者気分です。 オークランドを中心に仕事を兼ねてあちこちに出没。 InstagramではNZの写真を日々Upしてますので、お暇な方はどうぞ。