New Zealand national bird
ニュージーランドの国鳥といえば『キウィ(kiwi)』
ニュージーランド固有種で、キウィフルーツの名前の名前の由来にもなった鳥です。
飛べない鳥としても有名ですが、実はこのキウィ、他の鳥に比べて大変ユニークな鳥なのです。
今では絶滅危惧種に指定され、全国でも保護活動が行われています。
キウィの名前の由来
キウィは夜行性なこともあり、マオリ語で「Te manu huna a Tane タネ(森の神様)が隠した鳥」と呼ばれていました。
しかし、今の『キウィ(kiwi)』の名前は、キウィの鳴き声に由来します。
所説色々あるのですが、昔、マオリがキウィを呼ぶのに、口笛で「キウィ」と呼んでいたそうです。
ネコに向かって、にゃーにゃ―と呼び声をかけるのと同じような感じだったのかもしれません。
その様子を見ていた入植者達がキウィと呼び始め、それが定着し今に至るということです。
キウィってどんな鳥?
キウイは夜行性です。
大きさは鶏ぐらいで、体型は丸みを帯びていて茶色の羽で覆われています。
羽が退化しているため、見た目に翼を確認することはできません。
キウィは鳥たちが飛ぶために、本来 持っているであろう必要な骨がないためです。
そのかわり、どっしりとした短くて太い足を持っており、素早く地面を走ることができます。
ちょっと変わったクチバシ
キウィは長いクチバシをもっているのですが、鼻はクチバシの根元ではなく先端についています。
これは鳥の中でもキウィだけの特徴です。
非常に嗅覚は優れており、匂いを嗅ぎながら餌を探すため地面をつつくように歩くのです。
主な餌はミミズなど芋虫などの他に、種や虫、果物。
キウィは意外と雑食で、その他にもザリガニ、ウナギ、両生類などを食べることがあります。
またクチバシの付け根には猫のようにヒゲが生えており、暗闇の中を移動する際の助けをします。
キウィは一夫一婦
日本でも仲むつまじい夫婦の事を「オシドリ夫婦」といいますよね。
言葉にもあるように、オシドリは一夫一婦のように聞こえますが、実際は半年足らずしか夫婦関係がない上に、1年ごとにパートナーが変わるという大変移り気な鳥です。
そういう点で、キウィはまさに一夫一婦。
同じパートナーと全生涯を過ごす傾向にあり、20年間も一緒に過ごすことも。
やはり鳥としては非常に珍しい習慣です。
世界一大きい卵
正確には、鳥のサイズに対して割合が世界一大きい卵が正解です。
キウィの卵の重さは、メスの身体の約4分1。
そのサイズ、なんと鶏卵の6倍!
しかも、メスの体内で完全な卵になるまで約30日間ほどかかるため、メスは産卵のために通常の3倍の量の餌を食べます。
また産卵直前は、卵が胃を圧迫するため産卵の2~3日前は餌を食べることができず断食を余儀なくされます。
季節ごとに1つだけ卵を産むのですが、そこからはオスの役目。
孵化まで2か月~2ヶ月半の間、キウィはペンギンと同様に卵を温め続けるのです。
まさに孵化するまでは夫婦共同作業。
またオスが卵を温めることから、家事や子育てを積極的に手伝ってくれる夫の事を、ニュージーランドでは「キーウィ・ハズバンド(Kiwi husband)」と呼びます。
絶滅が危ぶまれている原因
今では絶滅危惧種に指定されてしまったキウィ。
その主な原因は ”入植者達が持ち込んだ動物達“です。
もともとのニュージーランドには、キウィの天敵となる動物がいませんでした。
そのため、キウィは飛べなくても問題がなかったのです。
しかも最も深刻だったのは動物達の捕食よりも、動物達のおしっこ。
キウィのヒナはバクテリアなどにも弱く、ヒナの死因の半分は捕食よりおしっこなのだそう。
キウィの卵の孵化する確率は低く約50%。
キウィのヒナは、約40週、体重が1キログラムになると攻撃を防ぐことができるのですが、孵化した卵のうち約90%のヒナは動物達による捕食など、様々な理由で動物達6カ月以内に死亡してしまうそうです。
キウィが飛べなくなった訳
これはマオリ族に伝わる神話です。
ある日、森の神タネ・マフタ(Tane mahuta)が歩いていると、タネ・マフタの子供達である森の木々が、虫によって病気になっている事に気がつきました。
このままでは森が死んでしまう。
事態の深刻さに、弟である空の神タネ・ホカホカ(Tanehokahoka)に相談しました。
空の神タネ・ホカホカは自分の子供達である鳥達を集めました。
そこでタネ・マフタは鳥達に、森の虫退治にでる者を募りました。
しかし誰もいません。
鳥達は木々が虫に蝕まれ森が無くなることで、自分達の住処も無くなるということは考えていませんでした。
そこでタネ・ホカホカはトゥイ(Tui)に聞きました。
するとツイは答えました。
「私は暗闇が怖いので無理です。」
ツイは冷たく暗い森の中を覗き見て身震い。
それなら、お前は臆病者として生きるがいい。
タネ・ホカホカは白い2つの小石をツイに投げつけました。
すると小石は臆病物の印として、喉元の白い羽になりました。
次にタネ・ホカホカはプケコ(Pukeko)に聞きました。
すると湿った大地を見て、プケコは答えました。
「あまりにも湿っていると私の足が濡れてしまいます。」
それなら一生沼地でいきるがいい。
タネ・ホカホカはプケコを飛べない鳥にしました。
次にタネ・ホカホカはピピワラウロア(Pipiwharauroa)に聞きました。
※ピピワラウロアはカッコウの一種です。
「私は巣作りが忙しいので無理です。」
そんなに忙しいなら他の鳥の巣に卵を産めばいい。
それ以来ピピワラウロアは托卵をするようになりました。
このままでは、タネ・マフタの子供達である木々を失ってしまう。
そう考えたタネ・ホカホカは最後にキウィ(Kiwi)に聞きました。
するとキウィは森を見上げ、それから湿った冷たい大地をみると
「はい、私が行きましょう。」
と答えました。
2人の神は喜びました。
しかし、タネ・マフタはこれから起こることを説明しなければなりません。
「キウィ、これから地上で暮らすということは、その美しい翼を失い強靭な脚をもつ必要がある、そのため再び日の光る空を飛ぶことはできないが良いか?」
それでもキウィは引き受けることにしました。
感銘を受けたタネ・ホカホカは次のように言いました。
「君の大いなる犠牲によって、君は森の中で最も愛される鳥となるだろう」
そしてキウィは今のような姿になったということです。
こうして皆から愛されるようになったキウィ。
今ではニュージーランド人を表す象徴になっています。
また、ニュージーランドの人はこの個性的な鳥と個性的な自分達を重ね合わせ、自分達の事を「キウィ」と呼びます。
やがて、キウィの名はご存知のようにキウィフルーツとして日本に知れ渡るようになったわけです。
まとめ
たまに、キウィフルーツに似ている鳥だからキウィ?という話を聞きますが、実際は
『鳥→ニュージーランド人→キウィフルーツ』です。
お間違いなく!