耳より情報

踏切事故を防ぐためのニュージーランドらしいユニークな安全対策

Rail safety week

今週は『Rail safety week(鉄道安全週間)』ということもあり、踏切を安全に渡ろうというキャンペーンが行われています。

ニュージーランドの踏切を渡ったことのある人ならご存知かと思いますが、ニュージーランドの踏切には都市部以外ほとんど遮断機がありません

街中の車道に面している大きな踏切には遮断機がついているのですが、街のはずれや歩行者用の踏切には遮断機がついてない場合が多いのです。

ニュージーランドの一般的な歩行者用の踏切

日本と同様に電車が近づいてくると警告標識の赤い光の点灯と警告音はするのですが、そこからは踏切を渡る人の判断に任されます。

もちろん警告音が鳴った時点で入らないのが一番なのですが、警告音が鳴り始めてから電車が来るまでは少し時間が。
安全に踏切を渡ることを考慮しての時間なのですが、その時間を待てない人もいるようです。

ニュージーランド全土の線路には約2,800カ所の踏切があるのですが、昨年(2018年度)には415件のニアミスが確認されています。

そこで、ニュージーランド全国の鉄道会社及び運輸庁ならびに警察では、道路利用者と歩行者の安全を促進するために『Near miss memorial(ニアミス メモリアル)』記念碑を設置しました。

さて、この”Near miss memorial(ニアミス メモリアル)”とは一体どんなものなのでしょうか?

Near miss memorial(ニアミス メモリアル)

ニュージーランドの注意喚起のCMや広告(飲酒運転、スピード出し過ぎなど)は怖いものが多いことで知られていますが、今回の『Near miss memorial(ニアミス メモリアル)』もそんな取り組みの1つ。

このキャンペーンでは、過去1年間に一歩間違えると悲惨な衝突事故現場になったであろう踏切に、記念碑として白い半分の十字架が設置されています。

その十字架にあるQRコードを読み取ると、その場所で轢かれそうになった人の映像をみることが。

これは、毎年の『Rail safety week(鉄道安全週間)』の一環であり、意識を高め、列車、鉄道の線路、および交差点周辺の安全な行動を促進することを目的としています。

動画でもわかるように、いずれもニアミスも一歩間違えば悲劇につながる可能性のものばかり。

また、電車に轢かれそうになった人が焦るのはもちろんですが、電車の運転士や目撃者にはそれ以上のトラウマになるほどのストレスがかかることも忘れてはいけません。

知らなかったではすまされない踏切の罰則


踏切に遮断機がないにも関わらず、歩行者の中には頭を下げて携帯電話を見ていたり、ヘッドフォンをして聞こえていなかったり、または確認もせずに電車の前の線路に足を踏み入れている人も少なくありません。

手元に集中にしてしまうと周囲への注意は怠りがち。

あまり知られていませんが、線路への侵入者は起訴され最高で10,000ドルの罰金が科せられることがあります。
命が危険にさらされる上に罰金では割に合いません。

踏切を渡る際には、警告標識の赤い光が点灯していないことを確認し、必ず周囲を確認してから渡りましょう。

また、電車が通り過ぎたからといってすぐに渡ろうとすると、逆からも電車が来ることがありますのでご注意下さい。

Near miss memorial locations (記念碑の設置場所)

気になる記念碑の設置場所ですが、以下の場所に設置されています。

Waikato

Broadway (Matamata), Grey Street (Hamilton)

Bay of Plenty
Cross Road (Tauranga),  Totara Street (Mt Maunganui), Pah Road (Te Puke)
SH2 (Paengaroa), Collins Lane (Te Puke)
Whakatane/Kawerau

SH 30 (outskirts of Kawerau)

Hawke’s Bay

Napier Port Crossing

Taranaki

Egmont Road (Normanby)

Manawatu/Wanganui

Queen Street (Levin)

Wellington
Kapiti Road (Paraparaumu), Waikanae Station (Pukerua Bay), Collins Ave (Tawa)
Epuni pedestrian crossing (Lower Hutt), Woodside Road (Wairarapa), Wellington Station
Marlborough
Ferry Road (Spring Creek), Main Street (Blenheim)
West Coast

Mawhera Quay (Greymouth), Hampden Street (Hokitika)

Canterbury
Curries Road, Ensors Road, Matai Street, Lincoln Road (Christchurch)
Heaton Street (Timaru), Smithfield works crossing (Timaru)
Otago
St Andrew Street, Wickliffe Street shared path (Dunedin)
Ravensbourne Yacht Club shared path
Southland

Kekeno Place, Spey Street (Invercargill)

 上記の場所が記念碑の設置場所になりますが、現地まで赴くことができなくてもWEBサイトで全国のニアミス映像を確認することも可能です。
※画像をクリックすると『Near Miss Memorials』のサイトに移動します。

踏切を横断する際は安全確認をお忘れなく

ニュージーランドでは、これまでに踏切事故による死亡者も数多く出ており、踏切の安全対策が求められていました。

2017年に踏切事故で死亡者でてから、オークランドでは歩行者用の踏切に自動歩行者ゲートが徐々に設置されています。

軌道上のセンサーによって作動し、横断ゲートがロック。
また、万一ゲート内に残された人のために安全スペースへ抜ける非常用出口も設置。

この自動歩行者ゲートが増えたことによって踏切事故やニアミスが減少しており、各主要歩行者用踏切にも自動歩行者ゲートの設置が予定されています。

それでも全国的に設置されるにはまだまだ時間がかかるため、踏切利用者の意識を高めることが重要課題となています。

最後はやはり踏切を利用される人次第。
みなさまも踏切を横断する際は、安全確認をお忘れなく!

 

ABOUT ME
便利帳管理人
2003年にニュージーランド(NZ)に移住。 持ち前の探求心、好奇心からNZでの楽しさを追及し続ける日々。 気が付けば早15年以上NZに滞在となるが未だ旅行者気分です。 オークランドを中心に仕事を兼ねてあちこちに出没。 InstagramではNZの写真を日々Upしてますので、お暇な方はどうぞ。