Viral measles outbreak in Auckland
昨年度の終わりぐらいから、あちらこちらで目にするようになった麻疹(はしか)英:Measles注意の文字。
2019年度に入ってから麻疹は大流行し、現時点で1,000件を超える感染者が出ています。
そのうち感染者の約950件はオークランド。
やはり人口が集中しているオークランドでは感染が広がりやすいようです。
既にオークランド日本国総領事館からも在ニュージーランド邦人に注意喚起が出ており、旅行者への感染も懸念されています。
これまでも2011年、2014年と、数年ごとに麻疹が流行していましたが、これまでの予想をはるかに超える大規模な集団感染数がでているため、これからニュージーランドへの旅行を考えている方は注意が必要です。
また、旅行前に予防接種を受けても完全に免疫を得るまでに約2週間かかることがあるので、ご注意下さい。
麻疹(はしか)英:Measlesとは
麻疹、日本では別名:麻しんとも呼ばれています。
麻疹ウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症で、インフルエンザの10倍ともいわれる強い感染力があることで知られています。
ウイルスの感染経路は、空気感染、飛沫感染、接触感染で、人から人へと次々に感染。
手洗いをしたり、マスクなどを着用していても完全に防ぐことは出来ず、1人の患者から15~20人に感染するといわれます。
妊娠中に麻疹にかかると流産や早産を起こす可能性があるため、麻疹流行時には外出を避け、人込みに近づかないようにするなどの注意が必要です。
免疫を持っていない人が感染すると90%以上の高い確率で発症。
しかし、一度感染して発症すると一生免疫が持続するため、再度感染することはありません。
麻疹の症状
潜伏期間:10日間~12日間の潜伏期で発症(最大3週間)
カタル期:咳、鼻水、のどの痛み、目が赤くなるといった風邪のような症状
口の中に白いブツブツ。2日間~4日間。
※カタル期は感染力が最も強い時期なので注意が必要です。
発疹期:39℃以上の高熱。全身に発疹。
回復期:7日~10日間で回復。
赤い発疹は黒い色素沈着となり徐々に消えます。
麻疹は、肺炎、中耳炎を合併しやすく、患者1,000人に1人の割合で脳炎が発症すると言われています。
中には亜急性硬化性全脳炎(SSPE)と呼ばれる中枢神経疾患を発症したり、死亡するケースもあるため、WHO(世界保健機関)では予防接種を受けることをすすめています。
麻疹の予防法としては2回のワクチン接種が最も有効です。
ニュージーランド在住者の場合、一般的に子供の時(15カ月と4歳)にかかりつけ医(General Practitioner、GP)などで【MMR=麻疹・風疹・おたふく三種混合】の予防接種をします。しかし、義務ではないため、摂取していない人もおり、オークランドでは学校への出張ワクチン接種などを現在行っています。
ニュージーランドで麻疹に感染してしまったら
発疹や発熱など麻疹の初期症状がある場合は、病院へ行く前に麻疹の疑いがあることをかかりつけ医(GP)または医療機関に電話等で伝え、受診の要否や注意点を確認し、その指示に従ってください。
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また麻疹の感染力は非常に強いため、医療機関への移動の際は、周囲の方への感染を防ぐためにもマスクを着用し、公共交通機関の利用を可能な限り避けましょう。
感染可能期間は発疹がでる前、発疹がでた後の前後5日間といわれています。
個人差がありますが、これは発熱などの症状がでる1日前から、熱が下がってから3日間の約2週間ぐらいが目安です。
この期間は、感染を広げないためにも、外出や免疫のない人との接触を控えることが必要です。
ニュージーランドでも子供が麻疹に感染した場合、学校保健安全法施行規則により出席停止とされています。
これからニュージーランドへ渡航する人へ
麻疹ウイルスは感染力が非常に強いため、手洗いやマスクでも完全に予防はできません。
もし、麻疹の罹患歴がなく、2回の予防接種歴が明らかでない場合は事前の予防接種をおススメします。
日本では、2006年度から1歳児と小学校入学前1年間の小児の2回接種制度が始まり、2008年度から2012年度の5年間に限り、中学1年生と高校3年生相当年齢の人に2回目のワクチンが定期接種として導入されていました。
しかし、日本では麻疹・風疹の定期予防接種が行われていなかった時期もあり、一部の日本人にはこれらの免疫がない場合があります。
特に1977年~1990年生まれの方は一度しか予防接種を受けていない可能性が高く、該当される方は厚生労働省のHP【麻しん風しん予防接種の実地状況】の確認されて下さい。