Island of sheep New Zealand
ニュージーランドと言えば『羊の国』
ニュージーランドは羊の国と言われるほど、羊の多い国として有名なのですが、、、
意外なことにニュージーランドの羊保有数としては、世界ランキングの10位にも入っていません。
羊の頭数の多いランキング
順位 | 国名 | 羊生産量(頭) |
---|---|---|
1 | 中国 | 161,351,017 |
2 | オーストラリア | 72,125,334 |
3 | インド | 63,068,632 |
4 | ナイジェリア | 42,500,000 |
5 | スーダン | 40,573,686 |
6 | イラン | 40,029,687 |
7 | イギリス | 34,832,000 |
8 | エリオピア | 31,836,701 |
9 | トルコ | 30,983,933 |
10 | チャド | 30,789,484 |
出典:Food and Agriculture Organization of the United Nations (FAO)
(FAOSTAT – Production, Live Animals, Sheep, 2017)
えぇ、世界羊保有数において、まさかのベスト10ランキング外。
今、現在ニュージーランドのランキングは”14位”とさほど上位ではないのです。
それじゃ、何故に羊の国?というお話なのですが、その理由は国民一人当たりの羊保有数が世界1のため。
Statz NZと呼ばれるニュージーランド国勢調査 2018年統計によると、ニュージーランドの羊の数は約272万4500頭。
ニュージーランドの人口は約487.1万人ですから一人当たり約6頭を所有している計算になります。
それに比べて羊1位の中国ですが、中国の人口は約13億953万人(2018年調べ)
羊の頭数は約1億6135万1000頭。
ですから、一人当たりの保有数は約0.1頭と非常に少ないのです。
近年、羊の頭数は減ってきていますので、この先さらに順位が下がることが予想されます。
とはいえ、実際に羊が多いことは間違いありません。
さすがに市内で見ることは難しいですが、オークランドでも郊外に出ればいたるところに牧場があり、羊がのんびりと牧草を食む牧歌的な景色が広がっていますので、ご安心下さい。
ニュージーランドの羊達
「羊」と一言でいっても、羊にも多くの種類があります。
なんとその数、3,000余種!
ニュージーランドにはそのうちの約30種類が飼育されています。
肉食用に向いている羊もいれば、羊毛用に向いている羊もいるわけです。
ニュージーランドで飼育されている主な羊は、ロムニー種、メリノ種。
そして羊毛、食肉のどちらも兼ね備えているコリデール種と上質な食肉のサフォーク種についてご説明しましょう。
ロムニー種
ロムニーはニュージーランドで飼育されているの羊の大半の割合を占めている品種。
羊毛の育ちが早く、年に2回の毛刈りが可能です。
肉質もよく食肉用にも適しています。
しかし毛質が硬いため洋服には使用されず、カーペットなどに使用。
日本でもカーペットに使われている羊毛原料の70~80%はロムニー種が使用されています。
メリノ種
ニュージーランドで2番目に人気のある羊はこのメリノ種。
ニュージーランドで飼育されている羊の9割は、ロムニー種とメリノ種で占めるといわれています。
毛刈りが可能なのは年に1回ですが、繊維が細かく柔らかい上質な羊毛で、主に衣服に使用されます。
ただ、肉は筋肉質なため食用には不向きです。
コリデール種
ニュージーランド原産で、毛質の良いメリノと肉質の良いリンコルンの交配によって生み出された改良種。
羊毛はメリノより太いですが、英国長毛種より細く良質の羊毛です。
また肉質も良いため、羊毛だけでなく食肉用も兼ねている毛肉兼種です。
サフォーク種
ニュージーランドの羊で肉質が最も良いと言われるのはサフォーク種。
『羊のショーン』のモデルになったと言われている顔や手足が黒い羊です。
ただ残念なことに毛質があまり良くありません。
そのため、羊毛はテニスボールなどに使用されます。
ラムとマトンだけじゃない羊のお肉
日本だと羊は肉に匂いが、、、と気にする方も多いですが、ニュージーランドの羊は臭みが少なく非常に美味しいお肉です。
そしてニュージーランドやオーストラリアでは、ラム、マトンの呼び名の他にホゲットという呼び名があります。
さて、これらはどう違うのでしょうか?
羊肉基礎知識
ラム:1年未満の永久門歯がない雄または雌羊
ホゲット:1歳~2歳までの永久門歯が1から2本の雌及び去勢された雄羊
マトン:2歳以上で永久門歯が2本より多い雌及び去勢された雄
出典:Wikipedia
しかし、残念なことに世界輸出の規格上ホゲットはホゲットとしてではなく、その多くはマトンとして分類され出荷されます。
そして、ニュージーランドではこの3種類の呼び方だけでなく、ラムも更に細かく分類されています。
ラム肉基礎知識
Milk-fed Lamb(母乳だけで4-6週間育てた羊)
Young Lamb(母乳だけで生後6-8週間育てた羊)
Spring Lamb(母乳だけで3-5ヶ月育てた羊)
Grass-fed Lamb(母乳で育てた後、3-6ヶ月牧草で育てた羊)
Grain-fed Lamb(出荷前に穀物を与えて、体が大きくなるように育てられた羊)
言うまでもなく最も柔かくて味も良いとされているのがMilk-fed Lamb。
一番小さくかわいい時期のラムを食べてしまうというのは罪深い気もするのですが、この時期が非常に美味しいのです。
牧場に雄の羊はほとんどいない
牧場にいるたくさんの羊を見かけることはあっても、その羊達の多くは雌だってご存知でしたか?
遠くにポツポツと見える白い点のように見える羊達は雌ばかりなのです。
かわいい見かけによらず雄の羊は意外と狂暴。
育てるメリットを考えると繁殖用の雄をわずかに残して、残りは全部子羊の段階で羊肉として出荷されるのです。
また、雌の羊も繁殖や羊毛としてある一定の年数が経過すると毛質が衰えるため、シープスキンや飼料用として出荷されます。
ニュージーランドで一番有名な羊 “シュレック”
ニュージーランドの牧場にいる羊は家畜用に交配を重ねてているため、自然界では生きていけません。
羊の毛は生え変わることがないため次々と生えてくる自分の毛の重量で動けなくなって死んでしまうのだそうです。
そのため牧場を脱走したとしても、通常は2~3年ほどで死んでしまうのだとか。
しかし、過去に脱走して6年間生きていた特例があります。
1998年、当時オタゴの牧場で飼われていた羊の「シュレック」は、ある日突然牧場から逃げ出します。
当然のことながら、数年後にはもう生きていないだろうと思われていました。
ところが失踪してから6年経過した2014年、山の洞穴の中にいたところを発見されたのです。
いくつかの幸運が重なり、自然の草などを食べることで生き残ることができたようです。
発見時、シュレックの毛は伸び放題になっていたため、通常のヒツジの3倍ものサイズに膨れ上がっていました。
発見当時のシュレック。
6年間伸び続けた毛の重さは、なんと27kg!
シュレックの毛刈りはテレビで生中継され、一躍スターに。
その後シュレックには専用の小屋やショールームなども与えられ、17歳まで生きることが出来ました。
通常の羊は6年もたたないうちに出荷されますし、仮にそのまま生きていたとしても平均的な羊の寿命は10~12年。
そう考えるとシュレックは運だけでなく、そもそも生命力の強い羊だったのかもしれません。
美味しいニュージーランドラムを是非
ニュージーランドのラムは本当に臭みがなくて美味しいです。
ステーキハウスではミディアムレアで食べれるほど新鮮。
もし日本からニュージーランドを訪れる機会がありましたら、是非ニュージーランドラムをご賞味下さい。