New Zealand speaker cradles MP’s baby
ニュージーランド議会では21日、育児休暇をとっていたタマティ・コフィー(Tamati Coffey)議員が、自分の息子を連れて議会審議に出席。
赤ちゃんは今年の7月に代理母によって生まれたばかりで、タマティ・コフィー議員のパートナーであるティム・スミス(Tim Smith)さんとの子供です。
ただ、ティム・スミスさんは男性であるため、ティム・スミスさんの友人が代理母として出産。
赤ちゃんの遺伝的にはタマティ・コフィー議員のパートナーであるティム・スミス(Tim Smith)の息子です。
育児休暇明け初の議会審議である新米パパのタマティ・コフィー議員に、3人の子供の父親でもあるトレバー・マラード(Trevor Mallard)議長が、議長席でベビーシッターの役を買って出ました。
議場で議論が行われているさなか、議長席にいるトレバー・マラード議長が議事を進めながら哺乳瓶で赤ちゃんにミルクを飲ませたり、あやしたり。
議会の進行中、赤ちゃんはトレバー・マラード議長に抱かれリラックスした様子。
トレバー・マラード議長も自身のツイッターで「普通、議長席は議長だけが使うが、今日はVIPと一緒に座った」と軽い冗談を交じえて、タマティ・コフィ議員へのお祝いの言葉と共に写真をツイートしました。
Normally the Speaker’s chair is only used by Presiding Officers but today a VIP took the chair with me. Congratulations @tamaticoffey and Tim on the newest member of your family. pic.twitter.com/47ViKHsKkA
— Trevor Mallard (@SpeakerTrevor) August 21, 2019
本会議場に同席した議員たちも、次々とツイート
この姿はツイートは世界中に拡散され多くの共感を得ました。
近年、世界各国の議会でも赤ちゃん同伴で議会に出席
実は赤ちゃん同伴で議会に出席というのはニュージーランドでは初めてではありません。
2017年の総選挙で選出された労働党のウィロー・ジーン・プライム(Willow Jean Prime)議員は、総選挙後に招集された国会の本会議場に娘のヒーニちゃんを抱いて出席。議場で授乳もしています。
昨年9月にも、ジャシンダ・アーダーン首相が生後3カ月の娘を同伴して国連総会に出席し、初演説。
アーダーン首相が演説を行っている間、パートナーのクラーク・ゲイフォード(Clarke Gayford)さんがベビーシッターをしていました。
また ここ近年、世界各国の議会でも議員たちが次々に赤ちゃんを連れて議会に出席。
イギリスでは野党・自由民主党のジョー・スウィンソン(Joanne Swinson)代表が2018年に赤ちゃん同伴で審議に出席。
オーストラリアでは2017年にグリーン党のラリッサ・ウォーターズ(Larissa Waters)上院議員が議席で赤ちゃんに授乳し、注目されました。
性別問わず子育てしながら働きやすい国ニュージーランド
今回のニュースで浮き彫りになったのは、ニュージーランドは子育てに優しく、あらゆることにとても寛容だということ。
タマティ・コフィー議員は同性愛者であり、男性のパートナーのティム・スミスさんと結婚しています。
※ニュージーランドでは、2013年に同性婚が合法化されています。
今年の7月に、本人とティム・スミスさんの養子となる子を代理母に出産してもらい、子育てのために育児休暇を取得。
育児休暇明けには、赤ちゃん同伴で議会審議に出席しました。
議長自ら申し出て、議事をしながらベビーシッター。また、それを温かく見守る同僚たち。
ニュージーランドでは、1980年代に授乳室を本会議場のすぐ近くに、1990年代には保育施設も作られています。
実際に議員の育児支援を性別にかかわらずに推進していますが、それは議員だけはありません。
ニュージーランドの職場では、奥さんが病気でとか子供が今日具合悪くてなど、様々な理由で男性が職場に子供を連れて出勤することも、男性が育児休暇を取得することも、さほど珍しくありません。
世界で最も子育てに適した国に選ばれたこともあるニュージーランド。
今回は、それを象徴する出来事であったともいえます。