Paracetamol
”Paracetamol(パラセタモール)”またの名を”Panadol(パナドール)”
ニュージーランドで知らない人はいない飲み薬。
風邪のひきはじめやお腹が痛いときなどは大抵「パラセタモールでも飲んで横になったら?」と言われるほど。
それもそのはず。
ニュージーランドで病院にかかると、どんな病気やケガでも結構な割合で処方され、どの家庭にも必ずといってよいほど常備されてる日本の正露丸的存在な常備薬なのです。
子供用はシロップで、大人は錠剤で服用するのが一般的。
市販薬としても販売されており、処方箋がなくても購入することのできる薬ですのでスーパーマーケットなどでも気軽に買うことが出来ます。
パラセタモールってどんな薬?
パラセタモールとは、ニュージーランドで最も多く利用されているアニリン系の解熱鎮痛剤のこと。
血管を拡張して体から熱を逃がしたり、脳の神経に作用して痛みの感じ方を鈍くします。
解熱と鎮痛のどちらの効果もあるため色々な症状に処方されるのですが、これがびっくりするほど幅広い内容で適用されるのです。
どれぐらい幅広いかと言いますと、、、ちょっとこちらを見てみましょう。
頭痛、発熱、喉の痛みなど風邪の諸症状→パラセタモール
インフルエンザ→パラセタモール
腰痛や生理痛、腹痛、歯痛→パラセタモール
二日酔い→パラセタモール
神経痛、片頭痛→パラセタモール
筋肉痛、肩こり、関節痛→パラセタモール
打撲、捻挫、骨折→パラセタモール
術後やがんによる疼痛→パラセタモール
変形性関節症→パラセタモール
タトゥーをいれる際の痛み止め→パラセタモール
このように、とりあえず痛みを感じる可能性がある病気やケガには大抵パラセタモールが処方されます。
もちろん、必ずしもすべてがパラセタモールというわけではありません。
炎症にはあまり効果を発揮せず、熱や痛みの原因そのものを治す薬ではありませんので、多くは対症療法薬として他の薬と一緒に処方されます。
その理由の1つは非常に安全性が高く副作用も起こりにくいため、赤ちゃんや妊娠中であっても服用可能であること。
また、タミフルやイナビルなどの抗インフルエンザ薬とも併用も可能。
そのためニュージーランドの病院にかかると、毎回のようにパラセタモールを処方されることも。
しかも1回につき100錠や200錠を処方されることも珍しくありません。
そして、このパラセタモール。
作用が穏やかでありながら、驚くほど効果的。
※効果には個人差があります。
ただ、炎症を抑える作用は弱いので、リウマチなど強い炎症をともなう痛みには向かないようです。
本当に妊娠中で服用しても大丈夫なの?と疑ってしまいますが、実際に世界保健機関の必須医薬品リストに最も安全で最も効果的な医薬品としてリストに載っており、安全性は保証付き。
念のためですが、副作用が全くないわけではありません。
稀に食欲不振,腹部不快感、発疹などの症状が一時的にでることがあります。
また、過剰摂取はパラセタモール中毒を起こすことがありますので、パラセタモールに限らず薬は用法・容量を守って服用することが大切です。
消化性潰瘍,重症の血液異常,アスピリン喘息,重症の肝機能障害や腎機能障害持病やアレルギーなどの持病がある場合は、重篤な副作用を起こす可能性がありますので服用する際には必ず主治医とご相談下さい。
日本では知名度の低いパラセタモール
ニュージーランドだけでなく、世界的にも知名度の高いパラセタモール。
これだ安全性が高い薬なのならば日本でも販売されていそうですが、なぜか日本では名前を聞くことはほとんどありません。
その理由は”違う名前で知られているから”
実はこのパラセタモール、日本では【アセトアミノフェン】と呼ばれています。
この名前ならご存じの方も多いのではないでしょうか?
パラセタモール成分の日本の市販薬としては”カロナール”や”タイレノール”が有名です。
何故 日本ではアセトアミノフェンでもなく、それぞれに違う名前で販売されているのでしょうか?
それは、各販売会社が”独自に商品名をつけた”ため。
ですから、これらの商品は名前が異なるだけで、パラセタモール(アセトアミノフェン)成分なのです。
余談ですが、カロナールの名前の由来は、”痛みがとれ軽(かる)くなる”という薬の効果から命名。
えぇ、単なるダジャレからきています。
ちなみに、「タイレノール(Tylenol)」はパラセタモールの化学名である【N-acetyl-para-aminophenol(N – アセチル – パラ – アミノフェノール)】の”tyl“と”enol“を抜粋して合わせたものが名前となっています。
この他にもパラセタモール(アセトアミノフェン)は単体の薬としてではなく、日本の市販の風邪薬の多くに含まれており、配合剤として販売されています。
ここで気を付けたいのは、市販の風邪薬とのパラセタモールとの同時服用。
何故ならパラセタモールを24時間で接種する安全目安量は最大4,000 mg(4g)とされており、知らずに飲み合わせて過剰摂取をすると肝臓に負担がかかり重篤な中毒症状を起こす可能性があるためです。
とはいえ、使用上の注意には、錠剤のパラセタモールは1錠(500 mg)で4~6時間おきに1錠~2錠を服用し、最大で4回まで。
1回につき 500 mg ~ 1,000 mg を4回ですから、摂取量は最大でも2,000 mg ~ 4,000 mg。
よほど小まめに最大量を服用しなければ市販薬と一緒に服用しても、問題がない範囲ですがやはり注意が必要ですね。
解熱鎮痛剤だけじゃないパラセタモール
解熱鎮痛として有能なパラセタモールですが、犬や猫と蛇には有毒。
もし、ペットの猫が誤飲してしまうと嘔吐、唾液分泌、および舌と歯茎の変色や窒息を引き起こすこともあるので注意が必要なのですが、特に蛇には致死的効果があるようです。
それを利用して、グアムでは死んだねずみにパラセタモールを挿入し、ヘリコプターでばら撒くなどして蛇の駆除にも利用されています。
こういった薬としての使用はもちろんですが、パラセタモールは意外な使い方もあるようです。
なんでもアイロンの焦げ落としにも使えるのだとか。
思わず、えっ?と首をかしげてしまいますが、実は割と有名なライフハックの1つ。
アイロンを熱して、パラセタモールをこすりつけると焦げが落ちて輝きが戻るそうです。
https://twitter.com/SwanBrandUK/status/1231609818831630338?s=20
インターネットで検索すると写真や動画で詳しい方法を確認することが出来ますので、興味のある人は是非。
販売元では、おそらくこのような使い方を推進はしてないと思いますが、検索すると出てくるビックリするようなパラセタモールのライフハックの数々。
髪の毛を洗ったり、洗濯用の洗剤として使ったり。
飲み薬であるパラセタモールを一体誰がこんなことに使えると気がついたのかと感心してしまいます。
もし、家に余っているパラセタモールが大量にあるのなら、試してみるのも良いかもしれません。
参照元:Wikipedia(Paracetamol・アセトアミノフェン) /Health Navigator